最近、ニュースや金融関連の記事で
「CBDC(中央銀行デジタル通貨)」
という言葉を見かける機会が増えています。
難しそうな響きのこの言葉ですが、
構造としては非常にシンプルです。
CBDCとは、国の中央銀行が発行する
「デジタル版の法定通貨」のことを指します。
たとえば、現在の日本円は
紙幣や硬貨として存在しますが、
これをデジタルの形で中央銀行が
直接発行・管理する仕組みに変える
というのが、CBDCの基本構想です。
ここで重要なのは、CBDCは
「仮想通貨」ではないという点です。
ビットコインや
イーサリアムのような仮想通貨は、
中央機関が存在しない分散型の通貨であり、
その価格は市場で決まります。
一方でCBDCは、
あくまで政府や中央銀行が発行し、
その価値が法的に担保された
「公的な通貨」です。
では、なぜ各国がCBDCの導入を
進めているのか。
主な理由は、以下の3点に集約されます。
1つ目は「現金のデジタル化」です。
キャッシュレス化が進む中で、
紙幣や硬貨の流通量が減少し、
デジタル化への移行が必要になっています。
2つ目は「金融の効率化と透明性」です。
CBDCによって送金が即時かつ、
低コストで行えるようになれば、
個人間送金や政府給付などの仕組みも
大きく改善されます。
3つ目は「民間デジタル通貨への対抗」です。
Facebookが計画していたリブラや、
今後出現する可能性のあるグローバルな
デジタルマネーに対抗するため、
国家としての主権通貨を確保する狙いがあります。
ただし、CBDCには懸念も存在します。
すべての取引が中央集権的に
管理される可能性があるため、
プライバシーの問題や
政府による監視リスクが指摘されています。
また、
既存の銀行システムに与える影響も
無視できません。
結局のところ、CBDCとは
「国家がデジタル経済の主導権を
取り戻すための次世代通貨」であり、
その運用次第で社会構造に
大きな変化をもたらします。
目の前にあるのは、
単なるテクノロジーではなく、
通貨と自由の未来そのものです。