仮想通貨の価格が大きく上下すると、
必ず出てくる問いがあります。
「今、売ったほうがいいのか。
それとも、長く持ち続けるべきか」
という判断です。
この問いに対して、
唯一の正解は存在しません。
なぜなら、適切な判断は
その人の目的と状況によって
異なるからです。
短期的な値上がり益を狙って
エントリーしたのであれば、
一定の利益が出た時点で
部分的に利確するのは合理的です。
逆に、インフレヘッジや
長期的な資産分散を目的として
購入したのであれば、
数年単位での保有が
前提となります。
ここで重要になるのが、
「なぜ持っているのか」
という原点に立ち返ることです。
仮想通貨、とくにビットコインや
イーサリアムのような基軸通貨は、
単なる投機対象ではなく、
未来の通貨インフラとしての役割が
期待されています。
その視点に立てば、短期的な変動よりも、
今後10年20年でどう社会に浸透していくかが
判断材料になります。
一方で、人間の本能は、
利益が出ているときにもっと欲しくなり、
損が出ているときには手放せなくなるよう
設計されています。
この「感情の逆張り」をしなければ、
資産運用は常に振り回される
結果になります。
そこで一つの基準となるのが、
「出口戦略の事前設計」です。
たとえば、あらかじめ
・50%上昇したら元本分だけ売却する
・30%下落したら一度見直す
などのマイルールを設けておけば、
感情に左右されず
冷静な判断が可能になります。
また、ポートフォリオ全体の中での
仮想通貨の比率が高くなりすぎた場合には、
利益確定して他資産に再配分するのも
健全な設計です。
仮想通貨を持つという行為は、
単なる投資ではなく、
「未来の経済にどう備えるか」
という選択でもあります。
価格の上下に一喜一憂するよりも、
「この資産が5年後、10年後に
どんな意味を持っているか」を
見据えて設計すること。
それが、
売るべきか保つべきかという問いに対する、
最も誠実な答えとなります。
短期の利益は刹那的で、
長期の視野は構造的です。
未来に希望を持てる設計であれば、
保有はストレスではなく「準備」となります。
仮想通貨に限らず、資産とは
「売るために持つ」のではなく、
「備えるために持つ」ことで
本当の意味を持ち始めるのです。